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入った途端に立つ鳥肌。
「まだここにいるな」
ゴーグルを装備した寺元が呟[つぶや]く。
思念波を測定できるソレは、かなり高感度に反応を示してくれている。
教室内を見回していた寺元は、ある1点でピークを見つけた。
「掃除ロッカーの前だ」
「了解ッ !!」
南はダッシュで駆け寄ると、ロッカーの前の辺りの空間を、下から上へと切り裂いた。
何もないはずなのに、手元には抵抗がかかる。
「ビンゴっ !!」
そのまま身を翻[ひるがえ]して距離をとる。
キィィィン、と耳が痛くなり、空間が歪[ゆが]んだ。
ゆらり…と現れたのは、例の頭なし男。机や椅子が、ガタガタと揺れる。
「寺元っ !!」
「わかってる」
寺元はコーグルを外して南の前に出ると、籐の籠[かご]を霊に向けた。
口には短い笛をくわえている。
南が耳をふさいだのをちらりと確認すると、寺元は笛を鳴らした。
ピィ――――――――
高い音が空間を満たす。
そのまま、籠の底を3度叩[たた]くと、それだけで霊の姿が歪み、籠の中へと吸い込まれ――――――
ぱたり。
蓋[ふた]をきっちりして笛を止めると、寺元は大きく息を吐[つ]いた。
それを見て南も手を短刀から外し、寺元の側へと寄った。
「封印成功。…ホラよ、今度はきちんと浄化層に置いとけよ」
「う゛。わかったわよ。…ありがと」
寺元から籠を受け取って、二人は教室を出た。
「終わったか」
「うん。成功したわ」
言って芦澤に籠を見せる。
「あ―――。じゃあ教室に入って授業の続きを…」
キィーン コーン カーン コーン……
「昼休みですね、先生?」
「そうだな(泣)」
タイミング良く鳴った鐘に、伊沢ちゃんを見上げれば、彼はどこか遠くに視線を向けていた。