口ごもる芦澤。
 ん?、と南は詰め寄った。
「部長 !!」
 別方向から声をかけられて振り向くと、持ち場を撤収して来たらしい部員の姿があった。
「東都、姫木と相馬[そうま]と石原[いしはら]のチーム、すげー事してくれたぞ?」
 笑顔でそう言ったのは、同学年の渡瀬 隆馬[わたせ りゅうま]だ。
「すごい事? 何やったの1年チーム」
「えぇと、先輩、これ」
 相馬 拓人[そうま たくと]が差し出したのは、封印具だった。 それもしっかりと札[ふだ]の貼られた。
「?」
「えと…」
「標的とは別モノでしたけれど、対話が通じず向かって来られましたので、封印させて頂いたんです」
 相馬の言葉を遮って、姫木が流暢[りゅうちょう]に説明してくれた。
「うわ、よく三人で封印できたわね」
 南の一言に照れたようになる三人。
「んじゃコレ浄化層に置いて、片づけたら今日は帰りましょう。 ファミレス寄って『お疲れ様会』しなきゃね。…芦澤。逃がしたペナルティーで、 1年にジュースおごりなさいよ?」
 途端に上がる歓声と1人の焦った声。
「さ、部室に戻るわよ」
 後の方の声をざっぱり無視して、南は部員に声をかけた。
 それに従って歩き出す部員たち。
 校舎を出て見上げれば、陽の落ちる空。
「『終わり良ければすべて良し』かしらね?」
 広がる夕焼けに呟[つぶや]いて、くすりと笑みをもらした。

The End.






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