at that time



俺は、こんな体質は好きじゃなかったんだ。


初めて彼女に会ったのは、白の国の情報屋。
第一印象は良くはなかった。
あの店はどす黒くもないけれど、そこそこ危ないものも扱う。
光を纏[まと]う彼女には、場違いな所だった。
しかも、俺の依頼を横取りしようとするなんざ、腹が立っても仕方ない。
印象がよくないまま、一緒に仕事をするハメになったが…。



彼女の印象が変わったのは、いつだったんだろう。



墓参りに付き合わされた時?
緑の神殿に行った時?
別世界に飛ばされた時?
それとも、…あのときか。
彼女が、奴と別れたとき。



風と光を纏って進むはずの彼女が、闇にうずもれていた。



人を、殺したんだと言っていた。
自分はこの罪から逃れられないのだと。
…でも、傷ついていたのはそれだけではなく。



「…惚れてたのか?」
「……違うわよ。」



弱々しい否定。
その瞬間、働かなくてもいい俺の力が働いた。

『偽』と。

態度だけでもわかるのに、決定的な力による宣告。
何故だか無性に腹が立った。
それと同時に、彼女が、とても愛[いとお]しかった。



あの時は、あんな言葉を吐いたけど、俺の中はあんなものじゃなかった。
あんな、抱きしめるぐらいじゃ、足りなかった。
彼女はくすりと笑って
「お人好しって言われるでしょう? 本命をライバルにとられるタイプよね」
そう、言ったけれど。あれは、彼女に対してだからだった。
他の奴にはああまで言わない。
それはわかってもらえなかったけれど。



「おかえり、グレン」

愛しい声は、今すぐそばにある。
「愛してるよ、ルナ」
耳元でささやく声に返されるのは、はにかむような笑顔。
「わかってるわよ、そんな事」
その言葉に働く力は『真』だと告げる。
この態度は、言葉は、偽りではないと。
俺は彼女を抱きしめる。
ここにある、幸せとともに。



俺は、こんな体質は好きじゃなかった。
黒き神より授けられた、真偽を見わける力。
でも、じたばた足掻[あが]いたところでこの力は消えるわけじゃない。
それに今は、むしろいいかと思っている。
…こんな体質ごと受け止めてくれる、彼女がいるから。

The end.




あとがき…らしきもの。

うわぁぁぁぁあああぁぁっっ(滝汗)。
ノロケですか? ノロケですかグレンさんっっ!?
そんなラブラブ光線出して、何かあたしに恨みでもあるんですか!?
砂吐くぅぅぅぅぅっっ(涙)。

…ぜぇぜぇ。
んなわけであの夫婦のラブラブ話(?)です。…つーか、グレンさんの一人称。
ええ、ネタバレたっぷりです(苦笑)。
だって、「緑の真実」「風の在処」までたどりつける自信がないんですもの(死)。
何か、こんなん書いてたらUちゃんに叱られそうかも(汗)。 ラーク&ルナカップリングの好きなみんな、ごめんねv(←オイ・汗) でも、私の中ではこのカップリングしかちょっと考えられなかったので。 ラーク・ルナは私の中では兄妹[きょうだい]なのですよ。
えと、こんな駄文にお目通しありがとうございました。では。

2001.8




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