呪文。
我放つ
月眠る地に漂う生気
揺れ動く幻の花
そのひとしずくの塊[カタマリ]を我が手の内へ
白く舞う蝶の羽
風裂き丘の上で果てよ
誰かを待つようにそこに居た。
三階の窓際の指定席
まるで待っていれば会えるかのように、ずっと。
窓にかかる雪は内側を白く曇らせて。
ショールを纏[まと]って
夜中を駆けて
星の光の届かない
深淵[しんえん]へと降りてゆく
だってもう、貴方を想うことすら許されない。
冷たく凍った想いの結晶を腕に抱[いだ]いて
深く闇へと落ちてゆく
子供が泣いている。
それは その態度で、そのひとことで泣き出して、
手のつけられない私は途方に暮れる。
子供が泣いても、私は、
もう、泣くことさえできないから。
必要[いら]ないと言うのなら
消えてあげる
あなたの目の前から。
ある日突然 消えてあげる。
その時もし、
少しでも私の価値に気づいてくれたなら、
それが私のささやかなる復讐。
恐れるのはとても大切なこと。
でも畏[おそ]れだけじゃ前に進めないから。
顔を上げて まっすぐ前を見て。
畏れごとそれを認知して。
そして。
覚悟を持って 踏み出そう