魔王復活譚
それは、何千年に一度という、皆既日食の日。
太陽を二つの新月が覆い隠し、かくして魔王は復活したのです。
が、何せ復活したのは五千年ぶり。
そのため世界は、魔王が封じられる前とは全く変わっていました。
飛行機なんてモノが空を飛んでたり、自動車なんてモノが地上を走りまくってたり……。
そんな世界に多少戸惑いつつも、魔王は配下の者を呼ぼうとしました。
手下がいないと、ご飯だとか掃除だとか、全部自分でやらないといけないので、 いろいろと不便です。
……しかし五千年の間に、何度か天変地異と呼べるほどの大災害が起こっていました。
で、配下の力の強いヤツとか忠誠を誓ってたヤツとかは、 実にあっけなくぽっくり逝って、血筋も途絶えてたりしたんです。コレが。
それを知った魔王は、
「ちっ、仕方ね―な…」
と、新たな手下を探しにお月様の下、世界をまわってみることにしました。
で、ついでに、五千年前には、命の次ぐらいに大切な愛すべき方を模した、 約二十五・六三メートルの像が立っていた所を通りかかってみると、 なんとそこには、その二、三倍はありそうな、でっかいビルが建っていました。
「あ゛あ゛あ゛―――――――――――――――――――――――――――っっ。 オレの、オレのベティ―ちゃん(仮)があぁぁっっ」
愛するベティ―ちゃん(仮)を失った魔王は、がっくりとうなだれました。
何かもーどーでもいい感じです。
「なんかオレ、もーこんな世界いらね―や……」
かくして魔王は勇者に倒されることもなく、そのばかでっかいビルの前に、 虚しく力尽きたのでした。
The End.
あとがき…らしきもの。
…載せちゃいました。てへ☆(←バカ)
表には載せられないなぁってコトでこっちでアップです。
これは…ハイ、一発ギャグ(謎)です。
数年前に高校の後輩さんたちに出す年賀状に分割して載せようかな、とか企んでいたのですが、 思ったより長くなったのでボツりました。
周りのウケは思ったより良かったですね。
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