admit
知っていたの。
知っていたの。いつか別れが来ることぐらい。
種族が違うから。寿命が違うから。時の流れが違うから。
だから、知っていたの。
そんなことくらい。
…でもね。
こんな『別れ』は想像してなかったの。
こんな、心が引き裂かれたままの『別れ』は想像なんてしてなかったの。
伸ばした手は貴方の欠片も掴まえられなくて。
目の前で。零れてゆく命をどうにもできなくて。
自分自身をどうしようもできなくて。
吐いたのは、呪いのコトバ。
許せなかった。許すことなんて、できなかった。
『別れ』は知っていたの。
でも、こんな、奪われて。引き裂かれるなんて、思いもしなかったの。
あのひとが、私から去っていくのなら許せたの。
あのひとが、私の命を奪うのなら許せたの。
でも。
あんなのは、許せなかった。
呪いは自分の身にも返る。
そんなことも知ってたの。
…それでも、許せなかっただけのこと。
ねぇ。あのひとは。
赦してくれるかしら。
また、私を想ってくれるかしら。
それともこんなに醜く縋る私を、
軽蔑するかしら。
好きだったの。ただ、好きだったの。
あのままなんて、嫌だったの。
永い永い命。
逢いたくて逢いたくて。
ねぇ、でも。
生まれ変わったあのひとを。私は。
愛スルコトガデキルカシラ。
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