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「とりあえず、教室出てッ !!」
 決めて廊下へと飛び出す。
 くるりと振り返り、勢い良くドアを閉めた。
「東都さん?」
「すいません、ミスりました。ウチの部員…寺元くんと芦沢くん、呼んできてもらえますか?  あたしは武器を持って来ますんで。中には絶対に入らないで下さいね」
 井沢ちゃんにそう告げると、南は部室へと走った。
 鍵を開け、常備してある道具袋をひっつかむと、教室へととんぼ返りをする。
 足音を響かせて階段を駆け上がると、教室の前には既に二人の姿があった。 大柄な芦澤 透[あしざわ とおる]と一見不良に見えなくもない、 茶髪カラコンの寺元 智貴[てらもと ともき]が並ぶ姿は、嫌でも目立つ。
「東都、お前何やったんだ?」
 呆[あき]れたようで、それでも硬い声の芦澤。
 息を切らして差し出した道具袋を無言で受け取る寺元。
「ゴメン。朝に新入り封じたんだけど、封印瓶[ふういんびん]持ち歩いてて…」
「あのなぁ、部長[おまえ]がそれしてどうするんだ」
「だからゴメンてば。あたしもまさかこうなるとは思わなかったのよ」
「だからって…」
「文句は後で言え芦澤。で、ヤツはどんなだ?」
 静かに言う寺元に、芦澤は口を噤[つぐ]んだ。
「頭なし男よ。能力はポルターガイスト。それ以上は不明。部屋に入ってすぐ出てこられたから、 慌てて封印したのよ」
「よく封印瓶、持ってたな」
「ま、ね」
「なら、倒すより封じた方がいいか」
 判断した寺元が、封印系の道具を選び出す。
「東都はコレ持ってろ」
 南が寺元に渡されたのは、短刀だった。




→ わかった。短刀持って突入するわ。

→ え――。あたしも封印系の持ちたい。



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