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「何かあったのかしらね。ま、ここまで来たし、教室まで行こう」
わざわざ引き返す気も起きず、南は教室へと向かった。
まだ誰も来ていない教室。
南は鞄を席に置いて、窓を開け放った。澱[よど]んでいた空気が動き出す。
「さ、即ゼミやろう」
こう見えても受験生。未だ部活をやっているため、放課後に時間はとれない。
その分、朝に来て問題集と闘[たたか]っているのだ。
…まぁそれも、友人が登校しておしゃべりに興じるまでの僅[わず]かな時間なのだけれど。
「今日はせめて3ページやりたいなぁ」
そう呟[つぶや]いて、南は問題にとりかかった。
ガラドコガンドカッ…
数問も解かないうちにものすごい音が聞こえて、南は思わず手を止めた。
「…何?」