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本当ならば、封印したものはすぐに浄化層―――結界の張ってある、 浄化作用のある場所へと納めに行かなければならないものなのだが…。
「まぁ、小さいし大丈夫よね。放課後に納めに行けばいいし。早く行かないと即ゼミする時間、 なくなるわね」
南は小瓶をポケットに入れて、職員室へと向かった。
「えーと、問6は有野君、問7は山根さん、問8は東都さん。はい、前出て来て書いて」
(あーもー。どうして自信ないトコ当たるのよー)
4時間目。時計は11時を回り、そろそろおなかもすいてくる時間だ。
黒板の前に立つのは英語の伊沢ちゃん。当てた生徒の名前にチェックを入れている。
『ライティングはひたすら問題を解くべし』主義の伊沢ちゃんは、生徒に山ほど宿題をくれる。 今当たった問8にしたって、10問ずらりと並ぶのだ。
心の中で不平をもらしながらも、ノートを手に南は椅子[いす]から立ち上がった。
と、その途端。
( !?)
違和感を感じたのは刹那[せつな]のこと。
次の瞬間、ガラスの割れる音が教室に響いた。思い出すのはポケットの中身。
(ヤバッ !!)
「逃げて !! 早く教室から出て !!」
南は立ち上がったまま、青ざめてそう叫んだ。
突然の豹変[ひょうへん]にきょとりとしたクラスメイトも、ふっ、と蛍光灯が消えた瞬間、 何かが起きたのだと理解したらしい。我先にと教室から飛び出す。
3年目ともなると、退避行動も素早くなるらしい。 そんなことも別のところでぼんやり考えながらも、南の頭の中は『どうしよう』が飛び交っていた。
→ どーにかしなくちゃ。この場に残る。
→ 皆と一緒に逃げる。